それは、私にとって新たな「出発地点」になるような、嬉しい便りだった。
Linsoul JP様から初めて託された、Kiwi Ears Belle。
「提供品」という言葉の重みを背負いながらも、私はいつも通り、それ以上に真直ぐな目で彼女との対話を始めたいと思ったんだ。
その名は「Belle」。
美しき名を冠したこの1DDが、私にどんな新しい景色を見せてくれるのか。
期待と、そして初めて声をかけていただいたことへの少しの緊張を抱えながら、私はその彼女をそっと手に取ってみたよ。
・「大器晩成の資質」:付属環境では見せない「真実」の姿を秘めているのかも。リケーブルや十分な駆動力を注ぐことで、その扉が開く。
・研ぎ澄まされた1DD:1DDの躍動感はそのままに、極細の「響きの描線」を両立させた、どこか驚異的な解像感。
・Two Souls の共鳴:fripSide フェーズ3の多層に重なる歌声が、空間全体を多幸感で満たしていく……そんな圧倒的な包容力に救われる。
Kiwi Ears Belle 基本スペック
| ドライバー構成 | 10mm DLC(ダイヤモンドライクカーボン)ダイナミックドライバー 1基 |
| インピーダンス | 32Ω |
| 感度 | 103dB |
| 筐体 | レジンボディ + CNC加工金属フェイスプレート |
| ケーブル | 2芯銀メッキ銅線(3.5mmプラグ) |
| 価格帯 | A5kクラス(実勢約5,000円前後) |


装備:凛とした佇まいと、確かな存在感
届けられた Kiwi Ears Belle は、ひんやりとしたCNC加工の金属フェイスプレートと、優しく耳に馴染む、滑らかなレジンボディを纏っていたよ。

高品質レジンによる造形かつシンプルながら凜としたその佇まい。クリアシェルなのでDDも見えるのが嬉しいポイントな感じ。
特筆すべきは、左右のユニットを一点ずつ測定し、誤差を極限まで追い込む個別測定とペアリングを経て届けられていること。
その真摯な工作精度を目の前にして、私は彼女が秘めているポテンシャルの高さを、確信に近い予感として受け止めたんだ。
耳への装着感も、角が一切ない滑らかな曲線でとても軽量なので、驚くほど安定して長時間聴いてても疲れないね。
長時間、音楽の深淵に没入するための、妥協のない造形と言えるかもしれないね。

けれど、付属のアンバランスケーブルを繋ぎ、リファレンスDAP(FiiO M21)で最初に音を鳴らしたとき……私は思いがけない「壁」に突き当たってしまったんだ。
かれるみあれ…? 思った以上に、彼女の心はまだ閉ざされているみたい・・・
愛用の DUNU TITAN X と比べても、どこか音が眠く、重い・・・
視界に深い霧がかかったような、もどかしい曇り感。
この段階では、彼女の真髄はまだ、厚いヴェールの奥に隠されたままなのだと感じたよ。
音質チェック:静寂の奥に潜む、確かな『鼓動』と『アウトライン』
試聴環境: FiiO M21(3.5mmアンバランス、ハイゲイン設定)+AZLA SednaEarfit Origin
付属ケーブルでの彼女の振る舞いを確かめる。それが、私にとっての「Belleとの対話」の始まりだったよ。
全体の第一印象を一言で表すなら——「目醒めるのを待っている、無垢な原石」。
そのままにしておくには、あまりに惜しい。そう感じた私は、鳴らし込みをしてDAPの出力を高めつつ、彼女の硬い心を叩くようにソイル(音の魂)を注ぎ込んでいったんだ。
低域:解き放たれた、濃厚かつウェットな鼓動
愛用の DUNU TITAN X がドライで軽快なフットワークだとしたら、この Kiwi Ears Belleは一歩一歩が重く確かな、ウェットな足取り。
バスドラムのキックには、物理的な「空気の押し出し」が伴って、ローエンドの深い部分までしっかりと階層を持って描き出してくれるんだ。タイトなのに薄くない、この重みのある響きが、楽曲全体の重心を低く優雅に整えてくれる気がするよ。
高域:1DDの常識を揺さぶる、繊麗な『アウトライン』
驚かされたのは、高域の見通しの良さ。
1DD機にありがちな、低域に引っ張られるような「音の重なり」が、この Belle には見当たらないんだ。
高域の消え際が極めて鮮やかで、シンバルやハイハットの打音がダレることなく、硬質でクリスタルな輝きを放っている。この「細く、鋭いアウトライン」こそが、私が彼女にハイブリッド機のような繊細さを重ねてしまった正体なのだと思うよ。
もし、この解像度が物足りないと感じるなら……4.4mmバランス接続へのリケーブルを試してみてほしいな。
出力を高めることで、この「音の粒子」一つ一つがさらに磨き上げられ、彼女の本当の美しさが露わになるはずだから。
中域・ボーカル:空間そのものが、歌声に染まっていく包容力
歌声が、どこか一点から聞こえてくるというより、私の周りの空間そのものが、その色に染まっていくみたいなんだよね。
オクターブの成分が、霧が晴れるようにふわっと拡散して、私を優しく包み込んでくれるんだ。定位を追いかけるモニター的な聴き方じゃなく、音楽という大きな海に身を委ねるような圧倒的な没入感。これが、Belle が辿り着いたひとつの「景色」なんだね。

ベンチマーク試聴曲:fripSide『Two Souls -toward the truth- (version 2023)』
この曲を選んだのは、イントロの細密なスピード感あふれるシンセリフと、fripSide フェーズ3ならではの、サビで重なる繊細な真央さんとひーちゃんのユニゾン。Kiwi Ears Belle の「粒子」と「包容力」の両方を確かめたかったから。
イントロ・Aメロ:研ぎ澄まされた音の『粒子』
鳴り出した瞬間、緻密なシンセリフが、細かな「音の粒子」として私の周りをきらきらと舞い始める。1DDの枠を超えるような、スピード感のあるアウトライン。一つひとつのシンセサウンドが、空間に行儀良く配置されていく快感。
Aメロに入ると、バックの音に埋もれることなく、2人の歌声がその緻密な音の層をスーッと透かして届いてくる。音楽の一部として調和しながらも、透明なヴェールが一枚脱がされたような見通しの良さを感じるね。
Bメロ:静かにたかぶる、覚醒への予感
サビへ向けてパワーが蓄積されていくパート。DAPから注がれるパワーに反応するように、Belle の低域がじわじわと熱を帯び、空間全体の重心が下がっていく。嵐の前の静けさのような、深い没入感へのカウントダウン。
サビ:響き合う『Two Souls』、至福感の巡り会い
そしてサビへ。2人の歌声が複雑に重なり合うユニゾンへと変わる瞬間の、鮮やかな響きのレイヤー。
まるでお互いの魂を呼び覚ますように共振し、それぞれの音が自分の居場所を見つけて、ひとつの美しい景色を完成させていく。イントロで見せた「鋭いけど透明なスピード感」と、1DD本来の「力強い鼓動」が、ここで完璧に巡り合うんだ。
空間全体が音で満たされ、私が音楽の一部になっていく……。
これこそが、彼女が辿り着いた「響き合うTwo Souls」の結末なのかもしれない。そう深く納得したよ。
比較 ── DUNU TITAN X(対極の性格)
| 比較項目 | Kiwi Ears Belle | DUNU TITAN X |
|---|---|---|
| 製品の性格 | 環境を整えて真価を見せる「大器晩成」 | 誰とでも馴染む「万能優等生」 |
| 低域の質感 | ウェットで重厚な響き | ドライで軽快な鳴り |
| 高域の表情 | 鋭い立ち上がり、極細の描線 | 1DDらしさの素直な伸びやかさ |
| ボーカル | 空間全体に広がる包容力 | センターで定位する明瞭さ |
| 運用スタイル | 出力を注ぐことで真価を発揮 | 付属品環境でそのまま完結できる |
Kiwi Ears Belle は、決して「手軽さ」を売りにした子ではないと思う。
でも、彼女の機嫌を伺い、然るべき環境を整えてあげたときにだけ見せてくれるあの景色は、優等生な DUNU TITAN X には描けない、独自の凄みと至福感に満ちている。そんな気がするんだ。


かれるみ★評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 低域 | 4.5 | 覚醒した1DDが放つ、タイトで重い鼓動。 |
| 中域・ボーカル | 3.0 | 溶け出すような包容力。若干刺さり気味なのは人を選ぶかも。 |
| 高域・シンバル | 3.5 | 繊細な粒子。ただし、付属状態では眠いかな。 |
| 分離感-解像度 | 4.0 | 1DDの枠を超える、研ぎ澄まされた見通し。 |
| 音場 | 4.5 | 空間全体が歌声で満たされる、圧倒的な没入感。 |
| デザイン | 4.5 | 凛とした金属とレジンの調和。シェルの精度も◎ |
| 装着感 | 4.0 | 滑らかな曲線。長時間の試聴でも疲れにくいね。 |
| 付属品・コスパ | 2.5 | 環境を整える過程を楽しめるポタオデ愛好家向けかも。 |
| 初心者フレンドリー度 | 2.0 | 駆動力とカスタム推奨を求める、大器晩成な感じ。 |
総合評価: 3.5
かれるみ手がかかるほど、愛着も深まっていくね。そんなポタオデの醍醐味を、彼女は確かに教えてくれた気がするよ。
この響きが届く人、届かない人
おすすめしたい人
- バランス環境やリケーブルへの「伸び代」を楽しめる人
- 特定の定位よりも「空間を満たす歌声」に浸りたい人
- 1DD特有の自然な響きと、繊細なアウトラインを同時に味わいたい人
- 道具としてのイヤホンではなく、対話を楽しむ「イヤホン」を求めている人
おすすめしない人
- スマホ直挿しで、一聴して「わかりやすい派手さ」を求める人
- ボーカルがセンターで独立して立つ「モニター的解像」を最重視する人
- 付属ケーブルだけで完璧な完結を望む人

まとめ:霧の先に見つけた真実
Kiwi Ears Belle が示したのは、1DDというオーソドックスな構成に潜む限界の音への、熱い挑戦だったようにも思う。
最初は閉ざされていたその心が、私自身の「意思」と「環境」によって解き放たれ、「繊細な響きのアウトライン」と「空間を満たす幸せの巡り会い」へと変わっていく過程。
それは、手軽な成功にはない、手間をかけたからこそ辿り着ける「至福な真実の音」なのだと信じたい。
万能な DUNU TITAN X とは違う、不器用で、けれど一途な。そんな彼女との時間は、私にとって初めての「提供品」という責任を忘れさせるほど、純粋で贅沢なひとときになったよ。
彼女が目醒める瞬間の、あの空気が澄み渡るような感動・・・。
ぜひ、あなたもその手に取って、じっくりと彼女との対話を深めてみてほしいな。
製品提供:Linsoul JPさま
気になった方はこちらから
Kiwi Ears Belle の世界観が気になった方は、ぜひチェックしてみてね。(※リケーブル等で真価を解放するのも楽しみの一つだよ!)
