いままでイヤホンを買ったとき、付属のイヤーピースをそのまま使い続けていた。
正直、最初はそれで十分だと思っていた。音は出るし、耳にもフィットする。何が問題なんだろう?って。
でも、あるとき本当に音が変わるか気になって、試しに別のものに替えてみた。AFUL Performer 7にいくつかのイヤーピースをつけては外し、また別のものを試して・・・。
色々試していくと、イヤピによって音が変わったのに気づいた。
イヤホン本体と同じくらい、この小さなシリコンのイヤーピースが、音の違いを決めていたんだ。
そこから、本気でイヤーピースを選び直すことにした。試したのは4種類。そのうちの一つが「正解」になって、一つが「奇跡」になって、一つが「教訓」になった。
- AZLA SednaEarfit Crystal 2が私の「正解」。Performer 7のポテンシャルを、まるごと届けてくれた
- TANGZU Tang Sancai 唐三彩は「奇跡」。手放しかけていたZiiGaat Lunaを、たった1ペアが救った
- SpinFit W1は「教訓」。評判と価格ではなく、自分の耳で確かめることの大切さを改めて知った
検証環境
今回は4種類のイヤーピースを、この環境でぜんぶ聴き比べてみた。
リファレンス機: AFUL Performer 7(5+2)
DAP: FiiO M21(4.4mmバランス、ハイゲイン設定)
サブ検証: ZiiGaat Luna(唐三彩のパートのみ)
Performer 7を選んだのは、もっとも耳が慣れている存在だから。長所も限界も把握しているこの子で聴くのが、きっと一番素直な比較ができると思って。
| 製品 | 価格 | 内容量 | 1ペアあたり |
|---|---|---|---|
| AZLA SednaEarfit Crystal 2 | 約2,000円 | 2ペア | 約1,000円 |
| AZLA SednaEarfit ORIGIN | 1,300円 | 2ペア | 約650円 |
| SpinFit W1 | 1,380円 | 1ペア | 1,380円 |
| TANGZU Tang Sancai 唐三彩(ワイドボア) | 1,884円(通常) | 3ペア | 約628円 |

ベンチマーク試聴:GARNiDELiA「SPEED STAR」
今回の音質変化を確かめるベンチマーク曲には、GARNiDELiAの「SPEED STAR」を選んだよ。
メイリアさんの突き抜けるようなボーカルと、最後まで止まらない低域の効いたシンセサウンド。バスドラとシンセベースが走り続けるあの疾走感は、イヤーピースと相性の良し悪しが如実に出る。低域のエネルギーが逃げると、「SPEED」感がそのまま薄れてしまうから。
かれるみ映画「魔法科高校の劣等生 星を呼ぶ少女」の主題歌だよ。星空を駆け抜けるようなスピード感が本当にたまらないんだよね。
AZLA SednaEarfit ORIGIN ——まず試したのはここから
少し引いた場所から、音楽を見る。
SednaEarfit ORIGINはSednaEarfit Crystal 2より装着位置が浅く、耳の入口付近に落ち着く。その分、低域はやや控えめになる。
でも、ボーカルや楽器の輪郭が、クッキリと前に出てくる。
SednaEarfit Crystal 2が「熱量をそのまま届ける」なら、SednaEarfit ORIGINは「精度で聴かせる」。音楽に寄り添うというより、音楽を観察している、という感覚にも近い。
毎日コレじゃなくていい。でも、たまに聴きたくなる「音の分析をしたい夜」がある。
そして・・・1,300円で2ペア入り。1ペアあたり650円。
SpinFit W1と比べても、SednaEarfit Crystal 2と比べても、単価でいえばだいぶ優しい。「まず試してみたい」という方には、ここからが入口になるんじゃないかな。SednaEarfit Crystal 2が気になってるなら、まずSednaEarfit ORIGINで自分の耳とAZLAの相性を確かめてみてほしい。
SPEED STARを聴くと、メイリアさんのボーカルの輪郭がくっきり聴こえて、シンセの細かい音の動きが追いやすかった。低域は少し引いている分、音楽全体の見通しが良くなる感じ。「分析の夜」と呼んだのは、こういうことかもしれない。



コスパ最強を一つ選ぶなら、今のところSednaEarfit ORIGINかな。


SpinFit W1 ——「教訓」の話
世間の評判の声と、私の耳の間にあった距離。
良いという評判は、知っていた。絶賛するレビューも、いくつも読んだ。
だから期待して、1ペア1,380円(※26/3/5現在Amazon価格)でポチったんだ。
全体的の素材は良い。装着感も悪くない。3D可動軸で耳の形に追従する設計で、柔軟で耳へのなじみも丁度いい。ただ、音楽の熱量が、どこかへそっと薄れていった。
「聴きやすい」は、確かにそうかもしれない。ただ私にとって、それは音楽の角が丸くなった、ということと同じだった。低域のエネルギーが、柔軟なシリコンに少し吸収されているような、そんな感覚。
1ペアで1,380円。SednaEarfit ORIGINの1ペアあたりと比べると、約2倍の単価になる。音に納得できなかった分だけ、その差が気になってしまった。
誰かに合う答えが、私に合うとは限らない・・・そのことを、改めて教えてくれた。
SPEED STARを聴くと、音楽全体がひと回り柔らかくなった。メイリアさんのシャウト気味の高域が少しマイルドになって、バスドラの存在感も薄れる。「聴きやすい」は確かにそうだと思う。ただ、SPEED STARの「速さ」は、あの楽曲の命だから——その感覚が丸くなった分だけ、何かが違う気がした。



決してSpinFitが悪いわけじゃない。ただ、「私の耳」には合わなかった。それだけの話。


AZLA SednaEarfit Crystal 2 ——「正解」の発見
密着感という名の、信頼。
SednaEarfit Crystal 2を耳へつけた瞬間、何かがぴたりと定まった感覚があった。
グリップ、というより信頼・・・そんな感覚がした。耳の輪郭にそっと貼り付いて、音の出口をなるべく逃がさないようにしてくれている。装着している、という自覚すら薄れていくような、自然な固定感。これはドイツ製LSRシリコンならではの、少しペタッとした吸い付きのおかげなのかもしれない。
一番変わったのは、低域だった。
Performer 7のシンセベースが、いつもより少し強く、鼓膜を叩く感覚がある。「逃げない」と表現するのが一番近いかな。音のエネルギーが、シリコンに吸われずにそのまま届くような・・・Performer 7が初めて、100%の状態で鳴った気がした。



相性が「合う」というのは、こういうことか、と思った。大げさじゃなくて。
装着感も長時間ずれにくく耳の奥にしっかり固定されるから、動いていても音がズレる感じがしない。
SPEED STARを聴くと、バスドラとシンセベースの刻みがくっきりと前に出てくる。メイリアさんの高域も、音のエネルギーをそのまま受け取っている感じがして、疾走感がちゃんとこちらまで届いてくる。「音楽の速度」が伝わってくる、という感覚。
毎日手が伸びる理由は、たぶんここにあると思う。


TANGZU Tang Sancai 唐三彩(ワイドボア)——「奇跡」の話
最高の音だけど圧迫がきつくて聴けない・・・手放しかけていた・・・でも、TANGZU Tang Sancai 唐三彩が救ってくれた話。
これはPerformer 7ではなく、ZiiGaat Lunaとの話になるよ。
ZiiGaat Lunaは、すべてが美しい。フェイスプレートも音の出方も。
6BAドライバーが描く、霧が一瞬で晴れるような透明感。視界がどこまでも澄み渡る、あの感覚は他では味わえない。ただ、長時間耳につけていると、 フルBA機特有の圧迫感が増してくる。
耳の中で何かが詰まっていくような、その感覚が積み重なって、私はLunaを手放すことを考え始めていた。
そんな時、海外のフォーラムで読んだ一行が目に入った。
「TANGZU Tang Sancaiで内圧が抑えられる」。
早速AliExpressでポチって試してみた。TANGZU Tang Sancai 唐三彩を、ZiiGaat Lunaのために。
・・・あの圧迫感が、消えた。
Lunaが久しぶりに、最後まで耳に寄り添ってくれた。お気に入りプレイリストを聴き終わっても、Lunaを外したくなかった。
後で調べて知ったことなんだけど、唐三彩の内圧を逃がす仕組みは「ワイドボア」だけじゃなかった。傘の表面に施されたエンボス状の凹凸テクスチャが、密閉しながらも余分な圧を外に逃がす役割を果たしているらしい。シリコンの柔軟さと表面の微細な加工が合わさって、あの圧迫感を消してくれていたんだと思うと、なんだか奥が深い。
Performer 7では少し音が抜ける感じがして、日常使いにはCrystal 2を選んでいる。でも唐三彩は、ZiiGaat Lunaと一緒にいる。



Lunaは、まだ私の手元にある。それだけで、十分な答えだと思う。
TANGZU Tang Sancai 唐三彩(ワイドボア)はAliExpressで購入できるよ。(購入リンク)


かれるみ★評価
今回はイヤーピース4種の比較なので、音質単体というよりは「Performer 7との組み合わせによる体験」として評価してみたよ。
| 評価項目 | SednaEarfit Crystal 2 | SednaEarfit ORIGIN | SpinFit W1 | TANGZU Tang Sancai |
|---|---|---|---|---|
| 装着感・安定感 | 5.0 | 4.0 | 4.0 | 4.0 |
| 低域の密度 | 5.0 | 4.0 | 3.0 | 4.0 |
| ボーカルの明瞭度 | 4.5 | 5.0 | 4.0 | 4.0 |
| コストパフォーマンス | 4.0 | 5.0 | 2.5 | 5.0 |
| 自分の耳への「合い方」 | 5.0 | 4.5 | 2.5 | ※Luna専用 |
| 総合(私の耳基準) | 4.5 | 4.5 | 3.0 | (Lunaで 5.0) |
あなたに合うイヤーピース、どれ?
付属のイヤーピースからそろそろ卒業したいけど、どれを選べばいいかわからない——そんな人のために、簡単な道案内をしておくね。
Q1. そもそもイヤーピースを変えたことがある?
- いいえ(付属品のまま) → まずはコスパ最強の AZLA SednaEarfit ORIGIN から試してほしい。1,300円で2ペア入り、1ペアあたり650円。AZLAと自分の耳の相性を、低いリスクで確かめられる入口。
- はい(他のイヤピを使ったことがある) → Q2へ
Q2. 低域の密度と装着の安定感を重視する?
- はい → AZLA SednaEarfit Crystal 2 が答えだと思う。音の出口をぴたりと固定して、低域のエネルギーを逃がさない。日常使いの「正解」として自信を持っておすすめできる。
- どちらかというと、ボーカルをクッキリ聴きたい → AZLA SednaEarfit ORIGIN が向いているかも。低域は少し控えめになる分、ボーカルや楽器の輪郭が前に立ってくる。
- 硬めのシリコンが苦手で、耳に優しくじっくり聴きたい → SpinFit W1 を試してみる価値はあるかも。柔軟素材で耳なじみが良く、長時間でも圧迫感が出にくい。シャープさより「聴き疲れしないこと」を優先したい人向き。ただしまずORIGINで試してから検討してもいいかもしれない。
Q3. 使っているイヤホンの内圧が強くて、長時間つけてると耳が痛い?
- はい →TANGZU Tang Sancai 唐三彩(ワイドボア) を試してほしい。傘の表面にエンボス加工の凹凸テクスチャが施されていて、密閉しながらも内圧を外に逃がす設計になっている。AliExpressでの購入が必要になるけど、それだけの価値はある。私がLunaを手放さずに済んだのも、これのおかげ。



迷ったらまずSednaEarfit ORIGIN。そこから先は、自分の耳が教えてくれるはず。
まとめ
イヤーピースに「正解」なんて、きっとない。あるのは「自分の耳に合うかどうか」、それだけなんだと思う。
SednaEarfit Crystal 2が私の正解になったのは、そこに「逃げない低域」があったから。TANGZU Tang Sancai 唐三彩がLunaを救ったのは、「内圧を逃がす」という一点が偶然ハマったから。SpinFitが「教訓」になったのは、評判よりも自分の耳を信じることの大切さを教えてくれたから。
自分の耳の「真実」が、一つ増えただけ。それだけのことが、実はとても大切なんだと思う。
イヤーピースは、音を届ける最後の窓なんだと思う。
その窓が自分の耳にぴたりと合った時——音楽が、ほんの少し近くなる。



新しい発見があるからポタオデ沼は楽しいよね。


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