ふとAliExpressをながめていたら、目に飛び込んできた。
1DD+3BA+2PZT+1Planar。片側7基のドライバ搭載でA10k(セール時)クラス・・・ピエゾ・プラナーもある・・・
多ドラ好きの私が、これを素通りできるわけがない。念のため他のレビュワーさんの記事もいくつか読んでみたら、「楽しいサウンド」「個性的」という評価が並んでいて・・・
かれるみ一体どんな楽しい音がするイヤホンなの・・・?
そして気づいたらポチっていた。
届いた段ボール箱を見た瞬間、なんか大きくない?と思った。そして凄くしっかりした高級アクセサリーボックスのような化粧箱がでてきた。
イヤホンを手に取るとうっすら透けて7基のドライバーが、シェルに詰め込まれているのが見える。 正気ですか?と思いながらも、耳に装着してFiio M21の再生ボタンを押した瞬間、全員が一斉に喋り出した。静かに聴いている場合じゃなかった。
・まさに「音の洪水」。7基のドライバーが全帯域で主役を張る、情報量の暴力に圧倒される
・視界の隅々まで音が詰まっているような、多ドラでしか味わえない濃密な解像感
・この「全員主役」の狂気じみた鳴り方に一度ハマれば、もう普通のイヤホンには戻れないかもしれないね
スペック:規格外の証明
まず構成を見てほしい。これが、この子の「正気を疑うスペック」の全貌。
| ドライバー構成 | 1DD(8mm) + 3BA(中域1基・高域2基) + 2PZT(ピエゾ圧電 超高域) + 1Planar(8mm平面駆動 / DDと同軸配置)= 4種7基 クアッドブリッド |
| クロスオーバー | 4ウェイ |
| インピーダンス | 10Ω |
| 感度 | 105dB |
| 再生周波数 | 20Hz〜40kHz |
| コネクタ | 0.78mm 2pin |
| シェル素材 | 3Dレジンプリント(3チャンネル設計) |
| 価格 | 約90$(13,500円前後) |
「なぜピエゾが2基なのか」「なぜプラナーまで入れるのか」「そもそもこの価格でここまでやっていいのか」そのすべてに対するGEEKWOLDさんは、「それをやりたかったから」 じゃないかな?って思う。






付属品
| ケーブル | OFC銀メッキ + OCC単結晶銅ハイブリッド / 4芯 / 1.2m / 4.4mmバランスプラグ(3.5mmアダプター付属なし) |
| イヤーピース | 3種類(ナローボア・ワイドボア・セミワイド)× S/M/L = 9ペア |
| キャリングケース | レザー調ケース(大きいです・・・) |
付属ケーブルが、4.4mmバランス接続のみ。
3.5mmアンバランス? 知らない。そんなもの入ってない。この子は最初から「バランス環境で聴くこと」を前提に設計されている。OFC銀メッキとOCC単結晶銅のハイブリッドという、単体で売れそうなケーブルが付属している時点で、GEEKWOLDさんの「最初から本気で聴いて」という無言のメッセージを感じる。


指先が感じること、目が惚れること
音の前に、まずイヤホンを手に取ったときの印象から。
フェイスプレートは、深みのあるブルーにキラキラとしたラメが散りばめられた、見ていて飽きない仕上がり。そしてその奥に、うっすらとドライバーたちが透けて見える。7基がそこにいることを、ちゃんと目でも確認できる。 つけるたびに少しワクワクするし、デスクの上に置いておいても「なんか良いな」と思える存在感がある。
3Dレジンプリントのシェルは、肌に密着するような滑らかさ。重さがないのに、手の中には「ちゃんと存在する」手応えがある。安価なハウジングが多い価格帯で、これは嬉しい誤算。
4.4mmバランスプラグの抜き差しは、気持ちよくカチッと噛み合う感覚。ガタつきのある粗雑な手応えではなく、きちっと収まる精度があるよ。
長時間の作業をしながら聴くことが多い私にとって、耳への圧迫感なく存在を忘れられるかどうかは大事なポイント。レジンシェルの軽さとエルゴノミックな形状は、数時間程度なら苦にならない。デスクに置いておいても絵になる、素敵な存在感も好印象かな。
音の印象:高域が主役だけど全域が降り注ぐ
高域——ピエゾ2基の閃光
まず高域。これが全て、と言っても過言ではない。
2基のピエゾが鳴らすシンバルは、「シャンッ」と鋭く弾けて、そのまま空気に溶けていく。金属が叩かれた瞬間の、あの鋭いアタックと残響の輝き。以前 AFUL Performer 7 でモヤがかかっていたハイハットの描写が、この子では まるでベールを剥ぎ取ったように鮮明 になる。
ブラスセクションも同様。金管楽器の持つ金属的な倍音が、ピエゾと平面駆動の合わせ技で華やかに乗ってくる。シンセブラスが、こんなに輝かしく鳴ったのは初めてかもしれない。
低域——全体の土台として黙って支える
ダイナミックドライバーの低域は、主役を張るというより 「土台として全体を支える」タイプ。fripSide『secret operation』のイントロで唸るシンセベースも、過剰に膨らまず、かといって物足りなくもなく、ちょうどいい厚みで土台に敷かれている。
中域——ボーカルは「一歩後ろ」に立つ
ここが正直な私的に気になったポイント。
私がイヤホンに求める最重要項目は、「ボーカルが近いこと」。南條愛乃さんの声がゼロ距離で聴こえるか、息遣いまで感じられるか・・・そこが私の基準。
GK20 PROのボーカル表現は、上手いけど若干解像度は低め。でも音域は分離しているし、音が混ざらない。3つのBAが中域をしっかり担い、私のレビュー基準アーティストClariSのユニゾンもちゃんと聴き分けられる。でも・・・楽器隊の熱量が強すぎて、ボーカルが一歩引いたステージングになる。
近さより、広さ。密着より、全体を見渡す感じ。この子の世界観はそっちで、それを受け入れられるかどうかが、好みの分かれ目かな。
ベンチマーク曲試聴:GARNiDELiA『オトメの心得』
私のレビュー「魂の基準曲」、GARNiDELiA『オトメの心得』で通して聴いてみた感想。
試聴環境: FiiO M21(4.4mmバランス、 ハイゲイン設定)
イントロのブラスセクションがファンファーレのように鳴り響く。ピエゾドライバーが金管楽器の輝きを見事に捉え、決して刺さることなく華やかに展開する。そこに重なるtokuさんの作り込む分厚いグルーヴ・・・。
これだけ音の情報量が多くても、7基のドライバーが一切破綻しない。高速なスラップベースをプラナーが涼しい顔で捌き、3つのBAがボーカルとメロディを分離する。
高域の煌めきはもちろんだけど、それ以上に『情報の整理整頓』が凄まじい。音が雪崩のように押し寄せてくるのに、その一粒一粒がハッキリ見えるような不思議な感覚。音の洪水というより、「光の粒子」を全身で浴びているかのよう。
MARiA(メイリア)さんの力強くも艶めかしい歌声は、しっかりセンターに定位して、バックの演奏に埋もれない。メイリアさんの艶やかでこの曲を思いっきり楽しんで歌っている表情は、しっかり感じられて、楽しい。ただ、歌声が一歩下がって聞こえ「もう少しだけ近かったら」と思ってしまうのは、私のわがままかもしれないけどね。


ASMR適正チェック:のKiwi Ears Quintetと比べてみた
実は私、似た構成の先輩イヤホン Kiwi Ears Quintet を持っている。構成を並べると、この2つのイヤホンの「関係」がよく見えてくる。
| Kiwi Ears Quintet | GEEKWOLD GK20PRO | |
|---|---|---|
| DD | 1基(10mm DLC) | 1基(8mm) |
| BA | 2基 | 3基 |
| Planar | 1基 | 1基 |
| PZT(ピエゾ) | 1基 | 2基 |
| 合計 | 5基 | 7基 |
| 音場 | 広い | やや狭め |
| ASMR適性 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| 付属プラグ | 3.5mm | 4.4mmのみ |
| 価格 | 約$200(3万円前後) | 約90$(約1.4万円) |
Kiwi Ears Quintetは私にとって ASMR再生専用機として最強 のイヤホン。広い音場と伸びやかなピエゾ1基が生み出す空気感は、囁き声や環境音の粒立ちを繊細に描いてくれる。聴き疲れしない大人の高域で、長時間のASMR視聴も苦にならない。
GK20 PROは音場がQuintetより狭め——広大な空間表現はQuintetの方が一枚上手。でも、ピエゾ2基の解像感はASMRにも十分刺さる。 息遣いや紙をめくる音など、硬質なアタック成分はむしろGK20PROのほうがクッキリと描く場面もある。音楽メインでASMRもたまに聞くよという使い方なら、GK20PRO 1本で完結できる。
どちらが良いか? 答えは用途次第。「ASMR専用ならQuintet、音楽も映えてASMRも行けるオールラウンダーがA10kクラスで欲しいならGK20PRO。」 この価格でここまで言えるのが、この子の異常なところ。




かれるみ★評価
かれるみ重視ポイント
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| デザイン | 5.0 / 5.0 | 深いブルーのキラキラと透けるドライバー。所有欲◎ |
| 付属品・コスパ | 5.0 / 5.0 | この価格帯で4.4mmバランスケーブルのみ設定は正気ですか(笑) |
| 初心者フレンドリー度 | 1.0 / 5.0 | DAC/アンプ必須。沼の入り口ではなく沼の奥地 |
音質評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 高域 | 5.0 / 5.0 | ピエゾ2発の閃光とプラナーのおだやかさの調和が◎ |
| 中域・ボーカル | 3.0 / 5.0 | 分離は優秀。でも一歩引く。私的には少しもどかしい |
| 低域 | 4.0 / 5.0 | 土台に徹する美学。主役にはならない |
| 分離感・解像度 | 4.0 / 5.0 | 7基が音が混ざらず共存。過剰な美学の割にお行儀がいい |
| 音場 | 3.0 / 5.0 | 少し狭め。密度重視の設計 |
ビルド・装着感
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| ビルドクオリティ | 4.0 / 5.0 | 3Dレジンシェルの質感◎ |
| 装着感 | 4.0 / 5.0 | 軽くて数時間の作業も苦にならない |
総合評価: 3.5
かれるみブログ基準だと少し評価低め(ボーカル重視のため)。でも派手なサウンド好きならおすすめ!
GEEKWOLD GK20 PRO はこんな人におすすめ
- 音の情報の洪水を浴びたい人
- 高域(シンバル・ブラス)の輝きに飢えている人
- 4.4mmバランス環境をすでに持っている人
- 「普通」の音には飽きてしまった人
こんな人にはおすすめしません
- ボーカルが最前列で聴こえないと嫌な人
- 聴き疲れしない、まったりした音が好きな人
- スマホ直挿しで使いたい人(3.5mmプラグ変換が必要&駆動力不足)
- ウォームで低音が支配的な音が好きな人
まとめ:この「音の洪水」は、あなたのためにある
GEEKWOLD GK20 PROは、万人向けではないと思う。
DACやDAPが必要で、ボーカルの近さより情報の密度を好む人向けで、シンバルとブラスが輝く瞬間に快感を覚えるタイプの人のためのイヤホンだと思う。そういう意味で、これは沼の入り口ではなく、沼の奥地にある秘密の快楽。
でも・・・だからこそ、この子を知ってほしい。
A10kクラスでこれだけの体験ができる、ということ。4.4mmバランスで聴ける環境を整えれば、倍の価格帯のイヤホンと張り合える個性があること。この子を入口にして、ポータブルDACやアンプを一台買ってみる。そのきっかけに、GEEKWOLD GK20PROはこれ以上ない説得力があると思うよ。
全音域たちが光る瞬間を、一度聴いてみてほしい。楽しさ全開サウンド。
それだけで、この子を変態(褒め言葉)と言いたくなる理由が、全部わかると思う。



こういう個性的なイヤホン見つけるのも楽しい!
このレビューが、あなたのイヤホン選びの参考になれば嬉しいな。





一つ上の価格帯だけど、AFUL Performer7も2DD+4BA+1MPD構成で多ドラ好きにはおすすめ


気になった方はこちらから
もし興味が湧いたら、以下のリンクからチェックしてみてくださいね。



