FiiO M21 買ったとき、「もういいかな」と思って売ってしまった TRN Black Pearl。縁あって借りる機会があって、久しぶりにスマホにつないでみた。
まずスマホ直差しで聴いていた時の音のことを思い出した。音量を上げるたびに低域がモサッとして暴れ気味で、ボーカルが霞んでいく。あの感覚。
それから、はじめてドングルDACとしてBlack Pearl を買った時のことを思い出しながら、改めてスマホにつないだ瞬間、その音が「よみがえった」。
そうだ、この子はこういう子だったんだよね。
- Dual CS43131 × 2基搭載。5,000円以下でスマホの音を「整頓」してくれる黒い小箱
- スマホ直差しでモサッとして暴れ気味だった音が、Black Pearl を通すと静かに座り直す。この変化に驚いた
- 4.4mmより3.5mmが正解だった。「接続がバランスなら音も良い」とは限らないと教えてくれたよ
スペック・外観
| 価格帯 | U5K(5,000円以下 / セール時4,000円前後) |
| チップ | Cirrus Logic CS43131 2基 |
| 出力端子 | 3.5mm(アンバランス)/ 4.4mm(バランス) |
| 入力 | USB Type-C |
| 対応OS | iOS / Android / PC |
DACチップはCirrus Logic 社の CS43131 を2基搭載。この構成で5,000円以下というのは、TRNさんの本気度の表れだと思う。


使う前に、ひとつだけ
念のため、知っておいてほしいことがある。
TRN Black Pearl は、専用アプリ「Walk Play」を使ってEQやフィルター、ファームウェアのアップデートを管理する設計になっている。このアプリは App Store や Google Play では配布されていなくて、公式のリンク(※Android専用自己責任でね)からアプリをダウンロードする必要がある。「届いてすぐ全部の機能が使える」と思っていると少し戸惑うかもしれないので、頭の片隅に置いておいてほしいな。もちろんアプリは無くても、細かい音質調整などが不要なら全く問題無いよ。
ファームウェアについては、初期バージョン等で音量設定がリセットされるバグやDynamic Range Enhancement に起因する歪み・ノイズが報告されていて、V0.2・V0.4 以降の更新で順次修正されてきた経緯があるよ。現在の最新は V0.5だよ。
私が入手した 2025年11月出荷分と、友人の 2026年1月出荷分は、どちらも最初から問題のないファームウェアが入っていたので、今から購入する分は基本的に大丈夫だと思う。ただ、Windows 環境では OS 側の音量スライダーが効かないケースがまだ海外フォーラム等で報告されているよ(本体の物理ボタンで調整は可能)。PC メインで使うつもりの方は、一応覚えておくと安心かな。
外観
金属フレームと強化ガラスのシースルーボディ。内部の基板がくっきり見えて、「良い音を聴いている」という高揚感を視覚からも与えてくれる。ガジェット好きなら眺めるだけで少し嬉しくなる、そういう設計なんだよね。

音質:整理整頓術という名の魔法
全体印象
音楽の整理整頓術が凄いと言いたい。
直差しではモサッとして暴れ気味だった音が、Black Pearl を通すとひとつひとつ自分の席へ静かに座り直す感じ。乱雑な音たちが一気に上品になる。その変化は5,000円以下という価格帯の音の表現を想像するより、ずっと確かな違いだったよ。
接続方式の意外な発見
ここは正直に書いておきたい。
4.4mm バランス接続で聴いたとき、音が「曇って」聞こえた。
「バランス接続は音が良くなる」と一般的には言われているけれど、イヤホンの組み合わせ(Black Pearl ×TANGZU WAN’ER SG 2 Red Lion)によっては、付属ケーブルによる 3.5mm アンバランスのほうが、音がのびのびと歌っていた気がする。接続方式がバランスなら常に音も良くなるとは限らないんだなと、この子が教えてくれた。
初心者さんへ贈る「アンバランスとバランス」のTips
3.5mm(アンバランス):みんなで仲良く、一つの部屋で
3.5mmアンバランス接続は、一つの大きな部屋で、楽器たちが肩を寄せ合って演奏している状態、と思ってほしい。
アットホームで音のまとまりが良いけれど、音量や音数が増えると少し窮屈になることもある。でもそれが「普段着の心地よさ」になっていることも多くて。TANGZU WAN’ER SG 2 Red Lionの場合、この距離感が一番安心する普段着のよう。無理に背伸びをさせない、素直な歌声が届く。
4.4mm(バランス):それぞれに専用のステージを
4.4mmバランス接続は、それぞれの楽器に専用のステージとスポットライトが用意された状態。
右と左の音が混ざり合わず、視界がどこまでも澄み渡るような広がりが生まれる。Black Pearl の心臓部である CS43131 を2基積んでいるのは、まさにこの「右耳用・左耳用それぞれに専任のエンジン」を用意するためのことでもある。
バランス接続が正義とは限らない
バランス接続のほうが音質は上かもしれない。でも、TANGZU WAN’ER SG 2 Red Lionのように 4.4mm だと「曇り」を感じてしまうイヤホンもいるよ。
かれるみイヤホンが一番輝く道を選んであげるのが、本当の愛なんだな、と今回改めて思ったよ。
ベンチマーク曲試聴:fripSide「a silent voice」× TANGZU WAN’ER SG 2 Red Lion
試聴イヤホンは TANGZU WAN’ER SG 2 Red Lion(1DD / 約3,000円)。「耳元ゼロ距離」なボーカル表現と力強い低域が持ち味で、DACアンプの制御力の違いが出やすい組み合わせだと思っている。
選んだ曲は fripSide「a silent voice」。fripSide節のシンセサウンドが全開でありながら、どこか切ないメロディラインが同居する曲。整頓してくれるかどうかを試すのに、これ以上ない選曲だよ。
スマートフォン直差し(試聴はアクオスWish2)
音量を上げると、シンセの荒れが気になり始める。南條愛乃さんの声は確かにそこにいるのに、シンセの洪水の中で輪郭が滲んでいく感じがする。低域のビートも渋滞気味で、「全員が主役を主張している」ような状態。
Black Pearl 4.4mmバランス接続
音の再現は全くスマホ直差しとは次元が違うんだけど、シンセの輝きが少し曇っている感じがした。ボーカルもわずかに遠くなった気がする。このTangzu Wan’er S.G. II Red Lionとの組み合わせでは、3.5mm のほうが明らかに全体的に伸びやかだったかな。
Black Pearl 3.5mmアンバランス接続
シンセの波がピタッと整列した。
疾走するシンセサウンドが刺さらず、輝きを失わずに伸びる。南條愛乃さんの声が前に出て、息遣いが聞こえるようになる。低域のビートが土台として機能していて、音楽が呼吸を始めたような感じ。
Tangzu Wan’er S.G. II Red Lion の「耳元ゼロ距離」の感覚も、Black Pearl がちゃんと引き出してくれた気がした。



「あ、シンセが並んだ」って思った瞬間が、一番好きだったかな。


比較
| スマホ直差し | Black Pearl 3.5mm | Black Pearl 4.4mm | |
|---|---|---|---|
| 低域 | 暴走・散らかる | 節度ある深い響き | — |
| ボーカル | 埋もれがち | くっきり前に | 少し曇る |
| 音場 | 平面的 | 左右に広がる | — |
| 総評 | モサッとして暴れ気味 | 音の品格が戻る | 接続の落とし穴 |


番外編:GEEKWOLD GK20Pro × Black Pearl
TANGZU WAN’ER SG 2 Red Lion での整頓術に驚かされた後、あえて「変態(褒め)スペック」な多ドライバー搭載イヤホン・GEEKWOLD GK20Pro を 4.4mm バランス接続で繋いでみた。
ものすごい高域のシャワー。
GK20Pro の豊富な情報量が、Black Pearl を通すと細かな音の粒として耳に降り注ぐ感じ。重なり合わずに届く感覚は、この価格帯の DAC としては素直に驚いた。
ただ、GK20Pro のような高域に個性があるイヤホンを繋ぐと、時折「シャラシャラ感が少しキツいな」と感じる瞬間が来る。Black Pearl の高域が、少し元気よく反応しすぎてしまう場面があるかな。
イヤホン沼住人向けの多ドライヤホンを完璧に鳴らすには少し荷が重いかもしれないけれど、この価格でここまで鳴らし切ろうとするその姿勢は、「全力で駆け抜ける若者」のような清々しさがあると思う。





GEEKWOLD GK20Proのレビュー記事もあるから、気になった方はぜひ読んでみてね。


かれるみ★評価
| 評価項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| 低域 | 4.0 | 量感より「音域の制御」が光る |
| 中域・ボーカル | 4.0 | スマホ直差しとの差が一番出る帯域 |
| 高域・シンセ | 3.5 | 元気いっぱい。ただし繋ぐイヤホンを選ぶかな |
| 分離感・解像度 | 4.0 | この価格帯では十分だと思う |
| 音場 | 3.5 | 広がりは感じるけど立体感は控えめ |
| デザイン | 4.5 | 基板が見えてガジェットとして◎ |
| ビルドクオリティ | 4.5 | 価格を考えるととても高級感もあるよ |
| 付属品・コスパ | 4.0 | 本体・USBケーブル付きですぐ使える |
| 初心者フレンドリー度 | 4.5 | スマホに挿すだけ。これ以上の入門用DACはないんじゃないかな |
| 総合 | 4.0 | ポタオデ沼の入り口に、最高の案内人がいたよ |
総合評価: 4.0



スマホ直差しからの最初の一歩として、これ以上の選択肢はなかなか無いと思うよ。
こんな方におすすめ
- スマホ直差しの音に「なんかぼやけてて曇ってるな」と感じたことがある方
- TANGZU WAN’ER SG 2 Red Lion のような暖色系 1DD イヤホンを使っていて、もう一段上の出力を探している方
- 基板が見えるメカニカルなデザインに惹かれる方
- 「接続端子の違いで音が変わる?」と気になり始めた方
こんな方にはおすすめできないかも
- 初期ロット(初期ファームウェアバージョン)の音量バグが気になる方(2025年11月以降の出荷分は対応済みのことが多いけど、念のため確認推奨)
- 「バランス接続にすれば絶対に音が良くなる」と信じている方( 3.5mm が正解の場合もあるから)
- 高域が鋭いイヤホンをメインに使っている方
- 最初から上位 DAP ・DACクラスの制動力を求めている方
まとめ:沼の入り口に、最高の案内人がいた
USB-C 3.5mm変換アダプタを探しているなら、あと数千円だけ背伸びをしてみてほしい。あなたのスマートフォンの中に、まだこんなに美しい音が眠っていたのかと、きっと驚くはずだから。
以前は手放してしまったけれど、今回改めて聴いて、この子の役割をちゃんと再確認できた気がする。沼の入り口には、ちゃんと案内人がいたよ。



ポタオデ沼の最初の一歩、BlackPearlと一緒に踏み出してみてね。


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