TANCHJIM Fission レビュー|主役不在のTANCHJIMは、輝くのか。私とブランド、その「分裂(Fission)」の境界線。

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おかげさまで、私のXフォロワーさまが500名を突破したんだ。ひとつひとつの温かな繋がりが、今の私を支えてくれている・・・本当に、ありがとう。

この節目に、皆さまに問いかけたアンケート。僅差ながらも1位に輝いたのは、意外にも(あるいは、必然的に)「1DD(シングル・ダイナミックドライバー)」だったんだよね。私たちは、複雑な多ドラの魔法をいくら旅しても、結局はこの「一つの震え」が奏でる純粋な音に、どこかで惹かれているのかもしれない。

その声に応えるべく手にしたのが、私のリファレンスのひとつ『TANCHJIM SODA』の生みの親であり、最もその「透明感」を信頼してきたブランドの主軸、TANCHJIM Fission

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「Fission(分裂)」・・・その名は、一体何を指し示しているんだろう・・・。

この記事を3行でまとめると

驚異の制動力。fripSideの激しい高域を一切刺さらせずに捌き切る、静かなる「物理法則」。

12通りの音作りによる精密な選択肢。だが、ブランドが提示すべき「至高の一音」への迷い。

実売 A15k。もしこのレビューが無機質な沈黙で終わるなら、それは私とこのブランドとの「分裂」の瞬間になる。


目次

スペック・外観:サファイアガラスが放つ、冷徹なまでの「透明な視界」

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構成1DD(10mm第5世代DMT搭載)
筐体CNC加工アルミニウム合金 / サファイアガラス
インピーダンス16Ω
感度126dB
価格クラスA15k(実売約1.5万円前後)

TANCHJIMの機材の実力は、まずその外装に現れるね。Fissionのシェルを覆うのは、完璧なCNC加工のアルミニウム合金。そこに嵌め込まれたサファイアガラスは、濁りのないTANCHJIMブランドのプライドを映し出しているよ。

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手に取った瞬間の、ひんやりとした金属の感触。サファイアガラスの奥には、濁りのないブランドのプライドが宿っています。

4通りのチューニング切り替えダイヤル・3種ノズルと・・・遊べるスペックにおいて、この子は間違いなく「いじりがいがある」1DD機だといえるだろうね。けれど、そのあまりに完成された無機質な見た目に、私はどことなく「心の距離」を感じてしまったのも、また事実だったかな。


開封・付属品チェック:てんきちゃんが居ない、寂しい・・・。

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てんきちゃんが居ない寂しい開封

箱を開けた瞬間、私は少しだけ立ち尽くしてしまった。かつてパッケージの至る所で笑っていた、あの愛らしい「てんきちゃん」の姿が、Fissionのパッケージにはどこにも見当たらないんだよね。そこにあるのは、ただ整然と並べられた高級感のあるそれぞれのパーツたち。

質感は、間違いなく A15k クラスとして最高レベル。しなやかなプラグ交換式ケーブル、そして音を追い込むための数々のパーツ。けれど、「正解」をユーザーに委ねるパーツたちを眺めていると、メーカーが提示すべき「音の物語」がこぼれ落ちてしまっているように感じて、少しだけ胸が痛くなったのも事実かな。

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3.5mm・4.4mm・USB-C用交換式プラグはぜいたくだね。USBでつなぐとアプリで色々出来るみたい(私はイコライザ不要派・・・)

音質レビュー:朝の冷気の中、耳を澄ます。

今回のレビューにあたり、私は最も残酷で、最も刺さり気味なボーカルを試される曲をベンチマークに迎えたんだ。fripSideの『LEVEL5 -judgelight-』(南條愛乃さんVer.)を選んだよ。

試聴環境: FiiO M21(3.5mm、ハイゲイン設定)+ AZLA SednaEarfit Crystal 2 Standard

下手なイヤホンで聴けば、ボーカルの特定帯域が刺さりまくって耳を突くような、非常に難度の高い一曲。Fissionはこの難所を、驚くほどバランスの良い音で捌き切ってしまったんだよね。

聴こえる風景:緻密な整理と、静かなる制動力

イントロのシンセリフが鳴り出した瞬間、視界がどこまでも澄み渡るような見通しの良さを感じたよ。音の密度が非常に高いこの曲においても、それぞれのレイヤーが潰れることなく、整然と並んでいる。この「整理整頓された気持ちよさ」は、まさに1DDイヤホンとしての最高到達点の一つと言えるんじゃないかな。

ボーカル:刺さらない安らぎと、届かない体温

サビに差し掛かり、音の壁が最大出力で押しよせる瞬間。よしのんの声が、突き刺さる前にスッと綺麗に空間へ溶けていくんだよね。一切の不快な鋭さを感じさせることなく、涼しい顔で出力するこの制御する力があるね。

けれど、音は正確。けれど、歌声が持つ「体温」や、音楽としての「うねり」が、どこか遠くに感じられてしまう。完璧に整えらた手術室のような、無菌状態の美しさ。そこには、TANCHJIM SODAで見えてたTANCHJIMというブランドイメージが持っていた「魔法」のような彩りが欠けている、そう思わずにはいられなかったよ・・・。

鼓動:量感に頼らない、理知的な土台

心臓の鼓動のような、タイトな響き。過剰な量感で誤魔化すのではなく、音楽の土台を深いところでどっしりと支えてくれる印象だね。

心に問いかける12通りの正解

3種類のノズルと4段階のスイッチによる調整。一見親切に思えるよね。ただメーカーが提示すべき意志をユーザーに委ねすぎてはいないだろうか。12通りの音を出せることが、技術への自信ではなく迷い・・・。この子への最大の寂しさと感じてしまった部分かもしれないね。

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チューニング用ダイヤル。私はデフォルトかポップ(ダイヤル↑位置)がお気に入り

比較:DUNU Titan X との対峙。

ここで、一つ残酷な話をしなければならないね。A5kクラスの DUNU Titan X との比較だよ。構成こそ同じ1DDだけれど、その目指す先は全くの正反対に位置しているんだ。

DUNU Titan X は聴いているだけで心が熱くなるような音楽の熱量があるけれど、TANCHJIM Fission はどこまでも冷徹で無機質だね。3倍の価格を出して得られるのは、感動ではなく「完璧に整理された無機質な静寂」だったんだ。

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「整理された音」の先にある、静寂という名の寂しさ・・・。


かれるみ★評価

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評価項目評価コメント
低域 3.5実力はあるけれど、感動まではあと一歩かな。
中域・ボーカル 3.0透明感はある。でも、Titan Xのような体温を感じにくい。
高域 4.5『LEVEL5』を刺さらせずに捌く制動力は見事。評価すべき点!
分離感・解像度 4.0非常に高い。一つひとつの震えまで見えるよう。
音場 3.0きっちりと整理されている。広大ではないかな。
デザイン 4.5サファイアガラスの美しさは唯一無二だね。
ビルドクオリティ 4.0最高。TANCHJIMの工芸品としての誇りを感じるよ。
装着感 4.0良好。耳に吸い付くようなフィット感。
付属品・コスパ 2.0質感は良い。でもこの価格なら至って普通。てんきちゃん不在の方が寂しい。
初心者推奨度 2.512通りの調整は、迷いを与えてしまうかもしれないね。
総合 3.0DMT5の良さは認めるよ。だけど音の「魂」は遥か安価な機種に負けているかな。
TANCHJIM Fission
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総合評価
( 3 )
メリット
  • サファイアガラスの美しさは唯一無二だね
デメリット
  • 音の「魂」は遥か安価な機種に負けているかな
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高いビルドクオリティだけど、どこか寂しそうな音。でもそこにあるのは「主役不在の普通のイヤホン」なんだ。

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Fissionしてしまうのか、果たして・・・

おすすめ出来るひと・出来ない人

  • サファイアガラスの工芸品としての美しさに惚れ込んだ人
  • ハイトーン女性ボーカルを、極力刺さららずに精密に聴きたい人
  • 自分好みのチューニングを、12通りの中から探す旅が好きな人
  • 女性ボーカルに「体温」や「心の震え」を求める人
  • てんきちゃん不在が寂しいと思う人
  • コスパを重視し、DUNU Titan X や NICEHCK Tears のような感動を求めている人

まとめ:主役(てんきちゃん)不在のTANCHJIMは、輝くのか。

私の愛機『TANCHJIM SODA』を作ったブランド。私はその音の美学だけでなく、かつて感じられた遊び心、一人のファンとして届いていたはずの「温かな声」を愛してたんだよね。

けれど、TANCHJIM Fissionを聴き終わった今、残っているのは冷たく美しいサファイアガラスのような「静かな距離」と「精密な工業製品」としての無機質さだけ。

Fissionは公式キャラクターである「てんきちゃん」の彩りが消えたパッケージ類。それは、TANCHJIMが「物語」を捨て、冷徹な私とは別の世界へと舵を切った感じなんだろうか・・・。

もちろん、彼女がブランドから消えたわけではない。けれど、Fissionにおいて「彼女を表に出さない」という選択をしたことこそが、TANCHJIMがこの製品に込めた孤独な決意のように、私には思えてならないんだ。

もし、この記事のあとに届く声がないのであれば。この子に名付けられた Fission(分裂) という言葉は、私とブランドの関係の「終焉」を指し示す言葉として、記憶に刻まれることになるだろうね。

音の風景を、言葉で描く・・・それが、私のスタイル。だからこそ私は、このレビューを持って、もう一度だけ扉を叩こうと思う。「私は、あなたたちが提示する『温もりのある至高の音』を、もう一度だけ信じてみたいのです」と。

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音は嘘をつかない。だからこそ、私はもう一度だけ、このレビューを持って扉を叩こうと思うよ。


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